パーカッション奏者でありインプロバイザー(即興演奏家)でもあるマルコス・フェルナンデスが、「空間を奏でる:建築物のための音楽」“Sounding the Space: Music for Architecture”と題した新作シリーズを発表しました。これはフェルナンデスの祖父が設計した4つの歴史的建造物での上演を目的として特別に制作されたマルチメディア・パフォーマンスで、2009年6月に、日本の4都市で発表されました。さらに、2010年10月に5つ目の都市で発表されます。
会場となる5つの建物は、京都府京都文化博物館別館、大倉山記念館(横浜)、ルネスホール(岡山)、カラコロ工房(松江)、やまぎん史料館 (下関)で、20世紀初頭にフェルナンデスの祖父、長野宇平治が設計したものです。大倉山記念館とやまぎん史料館を除く3つの建物は日本銀行の支店として設計されたものですが、それぞれ有形文化財や歴史的建造物に指定され、現在はNGOや公共利用のための施設に生まれ変わっています。
「建築物のための音楽」は非常に多層的な作品です。建物の歴史、建物と地域社会の昔と今の関わりなど、建築物に関するリサーチが作品に織り込まれています。それらのリサーチに基づいて、ライブ音源のサウンドスケープ(フィールドレコーディングおよびアコースティック音源やエレクトロニック音源によるインプロヴィゼーション)が建物の建築様式と神髄を活性化させ、さらにムーヴメントとビジュアルなインスタレーションが組み込まれています。
フェルナンデスの意図は芸術的なコラボレーションを通して、それぞれの都市住民の関心を引きつけることです。地元の歴史家、建築家、ミュージシャン、ダンサー、ビジュアルアーティスト達を交えて、作品の研究、リハーサル、上演が行われ、一般市民の方々をワークショップや討論会に巻き込もうと計画されています。
2009年のプロジェクトの全容(プロセス、建築物、歴史、地域社会、リハーサル、パフォーマンス)は、将来、発表することを念頭に、ドキュメンタリー映画製作にかけてはベテランのハンス・フェルスタッド Hans Fjellestadによりビデオに収録されました。
文化的つながりを再び:
フェルナンデスにとっては祖父の設計した歴史的建造物を通して母国と母国の文化と再びつながる、という個人的な意義も秘めています。
マルコス・フェルナンデス Marcos Fernandes 横浜に生まれ。ポルトガル、アイルランド、日本の血を引く。18歳でカリフォルニアに移住後、音楽製作に従事。東洋で生まれ育ち、成人後に西洋で暮らす。54歳になった現在、日本に帰国し、自身の作品における日本文化の重要性を再発見している。同時に、東西の文化思想を融合した祖父の建築物遺産を通して、自身が受け継いできたものと再びつながろうと模索している。
1970年岡山県赤磐市出身。岡山市在住。14歳からSaxを独学で始める。 1993年から佐藤允彦(Pf/Arr)主宰のワークショップ「ランドゥーガ」に参加、関連CD2作に参加する。 その後楽器店勤務を経て独立し、2003年より本格的な演奏活動に入る。 現在、年平均30~40回の各種イベントやライブに、自己の率いるグループや 様々なジャンルのグループのメンバーやゲストとして出演している。 2003年、和太鼓グループ「beZen鼓空」と共にモスクワで演奏。 2006年にはニューヨークで中谷達也(Per)等と演奏。 2007年より100人の演奏者とデュオでの即興を5分間づつ収録していくCD企画「即興・百人組手」が進行中。 また、表現手法間を横断したアート系のイベントやプロジェクトに多数参加、 「愛想と愛嬌のある即興演奏」をモットーに活動範囲を広げている。
マルコス・フェルナンデス
1955年 横浜に生まれる。父はヘンリー・フェルナンデス、母は建築家・長野宇平治の末娘、(旧姓長野)礼子。セント・ジョセフ・インターナショナル・スクールを経て、
サンディエゴ大学卒業。現在、アメリカを始めカナダ、メキシコ、香港、日本において、パーカッショニスト、即興・実験的音楽のパフォーマー、音響録音のアーティストとして活躍している。1990年代はサンディエゴ、ティフアナ、横浜の3都市による芸術交流プログラムや、サンディエゴ・シティ・スクールの「ヤング・アット・アート・プログラム」に携わる一方、
共同経営のカフェと画廊でパフォーマンス・イベントのキュレーターとしても活躍した。
南カリフォルニアの独創性を追及する音楽集団「トラマーフローラ Trummerflora」創立メンバーの一人であり、同集団が2002年よりサンディエゴ現代美術館において毎年開催している音楽、ダンス、ヴィジュアル芸術の祭典「Spring Reverb」の共同プロデュースを行っている。1985年には同分野の革新的な音楽家達のためのレーベル「アクリーション Accretions」を設立し、今も広く世界へ音楽を発信する活動を続けている。自身の作品はAccretions,Bake/Staalplaat, Circumvention, Pan Handler, Pax, Pfmentum, Phonography.org, Public Eyesore, Ribosome and Solitary B 等により収められている。
アメリカの芸術家育成支援プログラム「Meet the Composer」の給付金対象者。
2008年より横浜市在住。
www.marcosfernandes.com
平樂寺昌史
本名:平樂寺昌史。電子音楽家、グラフィックデザイナー、G-RECORD主宰。1977年生まれ。山口県下関市在住。2000年より東京、京都、大阪、福岡を中心に、
国内外のサウンド・アート、エレクトロニカ、ダンス・ミュージック・シーンの著名アーティストたちと交流を持ち、heirakuG名義で数多くのライブを行う。
また音楽以外の活動として、2002年8月「東京国際フォーラム5 周年記念 TOKYO ART JUNGLE」展、「東京国際フォーラム5周年記念 トーキョー・アート・ジャングル号」展
(共に主催:財団法人東京都国際交流財団、企画・制作:2dk)にキュレーションスタッフとして参加、グラフィックと一部ディレクションを担当。
2006年3月より、ラップトップ・ミュージックの普及を目的としたイベント「earth song」(アップルストア福岡天神)を開催(2009年現在まで計15回)、
2008年3月「音楽/フリーマーケット複合型イベント TONE」(下関南部町郵便局内)を開催するなど、他にも多くのイベントの企画運営を行う。
2009年6月には、秋吉台国際芸術村で電子音楽ワークショップ「洞窟を歩くための音楽」に講師として参加した。
http://www.grecord.com/about-2/
カール・ストーン
1953年ロサンゼルス生まれ。69年から75年にかけてカリフォルニア芸術大学にてモートン・スボトニックとジェームズ・テニーに学び、72年から専ら電子音楽/コンピュータ音楽の作曲に取り組む。
80年頃より、それまでの電子機器に完全制御された作品から、一回生/ライブ性の強い作品へと作風を変化させ、85年以降はMacintoshと他のデジタル機器との組み合わせによる様々な音響/音楽語法の可能性を追求。デジタル・サンプリング/プロセッシングを大胆に導入し、独自のサウンド・テクスチャアとグルーブ感を持つ音楽を創り出している。
www.sukothai.com
田中悠美子
東京芸術大学音楽学部楽理科、同大学院で音楽学を専攻。在学中、義太夫三味線の音色に惹かれ、文楽の人間国宝、故・野澤錦糸に義太夫三味線を、女流義太夫の現人間国宝、
竹本駒之助に義太夫節の語りを師事。現代音楽作品の演奏、ニュー・ミュージックのフィールドにおける即興演奏、音楽劇におけるパフォーマンス、ダンスとのコラボレーションなど、
実験的な表現活動を通して、三味線や日本の声の可能性を検証中。1990年度芸術選奨文部大臣新人賞(音楽部門)受賞。
エジンバラインターナショナルフェスティバルなどの主要なフェスティバルに招聘されているドイツの作曲家ハイナー・ゲッベルス演出による音楽劇 ”Hashirigaki”世界ツアー(2000-2008)
におけるパフォーマンスは、The GuardianやNew York Times誌で好評を得た。また、2004年、ニューヨークの人形アーティスト、
バジル・ツイストが制作した舞台作品”Dogugaeshi”では音楽構成および演奏を行い,同作品はThe New York Innovative Theater Award、
The Bessie's New York Dance and Performance Awardsを受賞。2007年秋にはNYにおいて再演され、続いて日本ツアーがおこなわれた。2004年春、
ソロCD ‘tayutauta’リリース。2006年アジアン・カルチュラル・カウンシルのグラント取得および2008年度文化庁新進芸術家在外研修によりNYに滞在し、
パフォーミングアーツに関するリサーチおよびパペットシアター製作研修を行った。
www.japanimprov.com/ytanaka
歌島昌智
1970年 広島生まれ
ピアニスト、パーカッショニスト、コンポーザー、ヒーラー
ドラマー&キーボーディストとしてプロデビューの後、国内外でのライブ、TV番組などの音楽制作、レコーディングに参加。
その後、即興ピアニストとして演劇、ダンス、絵画などのアーティストとのコラボレーション活動を開始、ゼロからその場で即興的に音楽を作り出すワークショップなども定評がある。
2003年より出雲に居を移し、独自のメソッドを用いたヒーラーとしての活動の傍ら、2007年にはフランス・リヨンにて開催されたインプロ・フェスティバルに出演するなど、
即興ピアニストとしてのライブ、楽曲制作などを展開している。
sound.jp/yuniwa
www.myspace.com/yuniwa
山本精一
音楽家。1958年、兵庫県尼崎市生まれ。
1980年代後半よりBoredomsにギタリストして参加。並行して自身のリーダーバンドである想い出波止場や羅針盤を結成。90年代に入ってからは、電動歯、
赤武士、ザ・ハッピー・カウボーイズといったBoredomsのメンバーとの別プロジェクトや、Novo Tono、Rovo、Ya-To-I、Mostといったバンドに参加し、ギタリストとして、
あるいはコンポーザーとして中心的な役割を担う。21世紀以降も、TEEM、Para、カオス・ジョッキーなどのプロジェクトを次々と始動。加えて、
国内外のミュージシャンとのさまざまなコラボレーション、さらには映画音楽にいたるまで、ソロを含め、多彩な音楽フィールドでジャンル・バスターのごとく活動を展開する。
ミニコミやライナーノーツ、音楽誌、文芸誌への寄稿も多く、1999年にはギターマガジン誌に1994年から連載していたエッセイ「ギタバリョー」他を収めた単行本「ギンガ(リットーミュージック)」を上梓。
また、自身のCDジャケットのデザイン、イラストも手がけている。
www.japanimprov.com/syamamoto
福岡県出身、山口県在住。スタジオイマイチを拠点に活動するダンスカンパニー“ちくは”の作品に出演するほか、山口・福岡を中心に積極的にソロ活動を行う。 ほか、山口の景勝地でのパフォーマンス・ビデオ・プロジェクト「名所でダンス」を継続中。
平井優子
幼少よりクラシックバレエを学ぶ。大学時上京後、珍しいきのこ舞踊団への出演をきっかけにコンテンポラリーダンスに転向。神奈川芸術文化財団主催ASK(Artist studio of Kanagawa)メンバーとして学ぶ間、様々な振付家、アーティストに出会う。
エリザベスコルベット(EX.ウィリアムフォーサイスダンサー)作品への参加、珍しいキノコ舞踊団、ニブロール、ルーデンス等への出演のほか、東京の小劇場やギャラリー、クラブ等でソロパフォーマンスを行う。
2000年度フランス政府給費留学生としてCDC(トウルーズ振付センター)にてヨーロッパスタイルの振付法、ダンステクニックを学ぶ。在学中、数々のヨーロッパの振付家に出会う。卒業後に振付家マルコベレティーニのプロジェクトに出演。ほかナディアローロ作品<tu monte?>(第10回神奈川国際芸術フェスティバル’03)に出演。
2001年ダムタイプのトゥルーズでのクリエーション参加をきっかけにメンバーとなりクリエーション、ツアー活動をおこなう。
ダムタイプ’Voyage’ツアー2002~2008 (2002年仏トウルーズにて初演)<日本、フランス、ドイツ、アメリカ、バルト三国、台湾、ノルウェー、韓国、スウェーデン、スコットランド、スロベニア、オーストラリア、コロンビアなどの都市。
2002年には美術作家シャロンロックハートのフィルム「No」への振付けを担当する。
2004年より地元岡山でのダンサー育成をはじめ、バレエスタジオや洋舞連盟ダンサーへの振付などのも手がけている。
2005年cieTNSHのアーティストダイレクターとなる。
作品’Tu ne m’auras jamais donn qu’un plaisir immediat’ フランス、ベルーギーで公演
2008年6月ドイツTheater der weltにて高谷史朗(ダムタイプ)の新作に参加
新作’Die Helle Kammer’ 初演2008年6月ドイツ
Hirokazu Morikawa
森川弘和:
滋賀県出身。フランスにてマイム、サーカスを学ぶ。帰国後、Monochrom Circus のダンサーとして5年間活動。'07年よりソロ活動を始める。瞬発力と動物的な勘、
抜群のボディバランスを生かしたダンスで注目され、自身の作品を発表する他、水と油、dumbtype、じゅんじゅんSCIENCE、Ted Stofferらのプロジェクトにも参加する.
国内外で公演を行うとともに,伝えることを通してひとと交感し創造することのおもしろさに惹かれてWS活動も積極的に行っている.
森下こうえん
演劇を経て身体パフォーマンス。
自分を含めた『人間』とその『意識』が気にかかり87年より演劇。肉と骨と影を求めて今世紀より身体パフォーマンス。 意識を通した身体、身体を通した意識。歪み、バランス、
動くということと『在る』ということ。何かに「そぐう」ということと「異化」と「同調」・・・・幼少期より見据えている空気中に浮かぶ“気配”みたいなものがずっと気になっている。
大脇理智
1977愛知県生まれる。
2000東北芸術工科大学 情報デザイン学科 映像コース卒業. dumb type劇場作品[memorandum]ツアーに参加、Paris,Seville,Amsterdam,Tokyoなど.
アメリカにダンス修行1月間マース・カニングハムカンパニーとトリシャ・ブラウンカンパニーのテクニックを学ぶ.
2002dumb type劇場作品[Voyage]フランストゥールーズ公演に参加。
現在山口情報センターに勤務.
主な作品::ダンスビデオ[crackers]システムディレクター.
ヨーロッパを中心に活躍するアートユニット、ダムタイプでのビデオアシスタントをへて、現在、山口を拠点に美術、ダンス、整体と身体表現を中心とした幅広い芸術活動を行う。
2004年より山口情報芸術センター(YCAM)にて映像、および映像機材の設計/設置の仕事に着手し、2007年には坂本竜一+高谷史郎によるインスタレーション
「LIFE-fluid, invisible, inaudibe…」、2008年、大友良英による「ENSEMBLES」展にテクニカルサポートとして関わる。
また山口県中心にメンバー構成されたコンテンポラリーダンスカンパニー「ちくは」を2004年より運用し、パフォーマンス「253自分を語る小物」は東京、福岡、ソウルで上演された。
http://www.newclear.jp
ハンス・フェルスタッドはロサンゼルスを拠点として活躍するミュージシャン兼映画監督です。”狂気の科学者インプロバイザー”(インターナショナルDJマガジン)、”アナログ・シンセシスの達人”(The WIRE)の異名をとるハンスは、ソロアーティストとして、また多数のアーティスト達と共演して、十数カ国のエクスペリメンタル音楽シーンで大々的にコンサートツアーやレコーディングを行っています。また、ハリウッドのスティーヴ・アレン・シアターでの月例音楽シリーズ “ResBox”の企画および司会を担当しています。
映画制作に関しては、電子音楽のパイオニア、ロバート・ムーグに関する素晴らしいドキュメンタリー“Moog”の監督としてもっともよく知られています。また、彼の監督した“Frontier Life”は、メキシコ、ティファナの奇妙な革新的アートの世界を探訪したドキュメンタリーで評論家から絶賛されました。最近完成したドキュメンタリー“The Heart is a Drum Machine”や、近々公開される日本の鬼才、園子温監督との共同作品“Lords of Chaos”では執筆、プロデュースを担当しています。ケーブルTVネットワークAdult Swimの人気テレビシリーズ“Metalocalypse”の編集も手がけています。彼の作品は世界各地の劇場やフェスティバルで上映され、Showtime、MTV、PBS、BBCなどの大手TVネットワークで放映されています。
www.hansfjellestad.com
This project was also made possible, in part, by Meet the Composer's Global Connections Program.
Funding for Global Connections is provided by The Ford Foundation.